UKIDSS の DR5 と DR7 からの2回 K-測光を調べ、高振幅 NIR 変光星を銀 河面内で調べた。 ΔK > 1 の星が 45 個見つかった。中には、既知 の OH/IR 星が二つ、新星が一つ含まれていた。銀河面中心線近傍はデータ にまだ含まれていないが、大部分= 66 % の変光天体が既知の星形成域で 見つかった。中でも Serpens OB2 アソシエイションからは 11 星、Cygnus-X 複合からは 12 星と多い。 | SEDs も 多くが YSOs であることを示す。銀河面内の高振幅変光天体の中で 低光度 YSOs が主要成分ではないか。DR5 サンプル星の分光を行い、少なくと も4星は噴火型 PMS 星の特徴を持つ事が分かった。この結果は、噴火型変光 が色々な継続時間と大きさをもつ噴火の連続からなるという最近の考えを支持 する。 |
二回測光の意義 GPS = the Galactic Plane survey は UKIDSS の一部を成す。GPS は 1868 deg2 を掃き、10億個の星を測光した。サーベイには2回の K- バンド測光が含まれる。目的は、(1) 高振幅変光の発見から、恒星進化の短期 で稀な事象を発見する。(2) 固有運動カタログの作成、である。これまでに 銀河面の広域変光サーベイの例はなく、したがって、二回の測光でも新しい 現象の発見が可能である。これは南銀河面で行われる VVV の結果の味見に 当たる。 噴火型 PMS 噴火型 PMS は、通常の 1000 倍に及ぶ降着量の急増に伴う不定期な光度 上昇を起こす。6等もの光度増加が数週間から 100 年にわたり続く。 YSO 問題 YSO モデルは、PMS 星が一定の降着量の下でハヤシトラックを下降すると 仮定している。しかし、(a) HR-図上で、PMS 星団がモデル等時線の周りに示す 偏差が大き過ぎる、(b) "liminosity problem" = 太陽型 PMS が ZAMS の上に あるべきなのに、典型的な PMS の光度が 1 Lo 以下である、という二つの問題 がある。噴火型 YSO はこの二つを解決する。 |
FUors と EX Pupis 噴火型 YSO には二つの型がある。(1) FUors = FU Orionis 型変光星は 大きな増光とその後の10年以上かけてのゆっくりした光度低下が特徴で、 噴火の最中には 2.29 μm の CO と NIR の H2O 吸収が強まる。(2) EXors = EX Pupis 型星は繰り返し性の短期(< 1 yr)噴火と 5 - 10 yr の静謐期 を特徴とする。IR スペクトルは強い Brγ 輝線が特徴で、CO バンドは 噴火時には放射帯となるが、静謐期には吸収帯に変わる。どちらの星も通常 ハービグハロー星のような放出流を駆動し、H2 輝線する。 ただし噴火と放出流との直接の関連は実証されていない。 赤外 YSO 変光星 可視観測による分類には中間型の扱いや深く埋もれた若い原始星の排除の ような問題がある。これまでに NIR で発見された不可視星は OO Ser, V2775 Ori, GM Cha の3つである。この他、 Cygnus OB7 にいくつか、 さらに PP 13S, AR6A+B も調査中である。現在のところ、10 FUors と 16 XEors が既知である。 YSO の大振幅変光 PMSs の大部分は小振幅 ΔK = 0.15 - 0.17 の近赤外変光を示す。 しかし 1 mag を越す変光は極めて珍しい。YSOs が MIR でも変光することは LMC において Vijh et al. (2009) が見出している。Rice et al. 2012 は Cygnus OB7 の Braid Nebula 中にある クラス I 天体が高い割合 (13 %)で ΔK > 1 mag の変光を示すことを 見出した。クラス I 天体は II, III 天体より降着率が高く、そのふらつきが 変光をもたらすのではないか。Rice et al 2012 の中の 2 天体と、Alves de Oliveira, Casali 2008 が発見した 1 天体は噴火型であった。注意すべきは、 視線方向の減光変化が UX Ori や AA Tau 的な天体で見られるような変光の 原因になり得ることである。 |
45検出 DR5 = 31 deg2 から 672 候補を見つけた。眼視で誤りを除くと 17 に激減した。ΔK = 3.75 以上の星である。DR7 は DR5 を含んでいる が領域が 124deg2 増加した。その増加分から は、3365 候補から眼視で 28 の変光を見出した。合計で 45 である。 |
既知星 DR5 の 17 星中、2つは青い。その一つは Nova Sct 2003 であることが分か った。残り 16 星は分類不明である。幾つかは DENIS, 2MASS に載っている。 二つの DR7 星 GPSV38 と GPSV45 は H-K が異常に赤く、ΔK > 2 mag であった。それらは既知の OH/IR 星 GLMP755 と IRAS18396-0807 (Hashimoto 1994) である。 YSOs と SGRs 12/17 DR5, 17/28 DR7 変光星が SFRs で見つかった。これはこれらの星が YSOs であることを強く支持する。 |